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醸造アルコールはまがい物か
第1話

醸造アルコールはまがい物か

日本酒の原材料に入っている醸造アルコール。一部のマスコミや酒の専門家、食の専門家などでけちょんけちょんに悪者扱いされたことがあります。しかし、「醸造アルコール」というのは、どうもその言葉の響きが悪いため勘違いされやすいのですが、焼酎そのもののことなのです。

多くの場合、日本酒メーカーは焼酎メーカーより95%の焼酎を購入します。これを割水し30%の焼酎(巷で売っている焼酎とまったく同じものになります)を造り、日本酒のもろみの最後に少量混ぜ合わせます。搾った酒は味のバランスが良くなり、香りがさらに引き立つなどの効果が現れます。この方法は古くから伝わり、昔は柱焼酎と呼ばれたと聞いています。

意外と知られてないことですが、全国で最高の酒を競う鑑評会で金賞を取る大吟醸酒も9割がた醸造アルコールが添加されたものです。実際造って見ても醸造アルコールを添加した大吟醸の方がすっきりとバランスよく酒が仕上がります。一般の消費者の方では大吟醸酒は純米酒だと思っている方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、戦後酒の足りない時期に酒の増量のために醸造アルコールが大量に添加されていたという技術の悪用時代もありましたが、現在は酒の味わいを調整するために使われているケースがほとんどです。

ぜひ酒の表示の先入観や世間で言われていることに惑わされず日本酒を味わってみてください。〝うまいものはヤッパリうまい〟これを自分で確かめることが肝心です。

(専務 田中隆太)