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地元蔵人による酒造り
第5話

地元蔵人による酒造り

杜氏にも地域があり、東北から来る南部杜氏、新潟は越後杜氏、長野では諏訪杜氏、小谷杜氏などが有名ですが、ひっそりとですが、けっこう多くの人数を擁している飯山杜氏というのがいます。
飯山・中野はもちろん、長野・須坂なども含め、北信地域の酒蔵ではかなり活躍している杜氏さん方が飯山杜氏会に属しています。

私共の蔵も、もちろん飯山杜氏、それもバリバリの地元で車で10分くらいの所に住んでいます。夏は農家をやり、冬は蔵人となる由緒正しい(?)蔵人の形を守っています。
それでもゆくゆくは冬だけ蔵人として働くという形も少なくなってくるだろうということで、蔵人の仕事の中にも一部通年雇用の社員を配置するようにしています。(2003年当時)

社員も極力地元の人間、それも蔵から近くに住める、生活できる人を選んで採用しています。なぜかといいますと、地元の人間でゆったりと酒造りをしたいと考えているからです。

昔は私共の蔵でも7人からの蔵人が11月半ばから3月まで130日間にわたり、ずっと泊り込みで働いていたそうです。家族とも会えず今でいう単身赴任の形ですから、けっこう大変なことだったろうと思います。
しかし今は交替で1名泊まるだけで朝6:30にもう1名が出勤してきて2人で朝の仕事を片づけるという体制になっています。
もちろん昔ながらに長期にわたり泊り込みで行なう酒造りがいけないとは言いません。職人として責任を持って、素晴らしい芸術作品としての酒を造りあげる一つの方法だと思います。