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日本酒独特な臭いがキライ!?
第4話

日本酒独特な臭いがキライ!?

よく、日本酒を好まない方は、「日本酒はオカンしたときに良く分かるあの独特な臭いがだめなのよね」とおっしゃいます。この「臭い」というのは日本酒がすべて持っていると思われがちですがまったくの誤解です。
炊いたご飯が古くなれば独特な臭いがするように、酒も古くなれば独特な臭いを持つようになります。たいていの場合、この臭いが「日本酒特有の臭い」と表現されることが多いようですが、大変残念なことです。

なぜ、このようにいわれてしまうかというと、正直言って製造過程の段階で酒を古くしてしまう清酒メーカーが多いせいだと私は思っています。
これは単純に酒が古くなった時に発生する「老香(ひねか、老酒のような香り)」だけではなく、生酒の段階で生じる「生老香(なまひねか)」と呼ばれるものに由来しているのだと考えています。

日本酒はもろみから搾ったあと、「火入れ」といって熱処理を加えるまでの間、生のまま保存されます。
熱処理前の生酒の中には酵素が生きており、おおよそ0℃以下の(確かな温度は厳密には研究されていませんが)低温におかないと、どんどん味が変わっていきます。
こうして生酒の段階で生じた「生老香」が熱処理後も残り、濾過等でも取れないため最終製品に残ってしまうのだと思っています。

特にローコストで日本酒を製造しようとする場合、こういったことはおざなりにされるケースが多いようで、低価格な居酒屋さんで飲む日本酒がおいしくなく、「日本酒はダメ」となってしまう人がでてしまうのが、とても残念です。

「水尾」を飲んだ、特に女性のお客様に多いのですが、「日本酒特有の臭いがしない」「他のはダメだけど水尾だけは飲める」と言う人がいます。
でも、水尾だけではなく、いいお酒はそんな「臭い」はまったくありません。むしろ心地よい香が漂うものでああるのです。

(専務 田中隆太)