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原料となる「米」の処理
第2話

原料となる「米」の処理

料理でもなんでもそうですが、基本の処理というのはとっても大事です。
水尾の造りの考え方は、常に基本に戻れです。原料処理に関してもどうやったら基本に(というか原理に)忠実にできるのかということを考えています。

大吟醸のお酒というのは、どのお蔵もみなさん力をいれます。これは「全国酒類鑑評会」というコンクールに出すための酒を造るからです。この時は、たいへんシビアに基本に忠実に酒を造ります。
たとえば原料処理においても10kgずつアミ袋やザルで手洗いし、米が吸った水分量を0.1%刻みで計算して管理します。米を水に漬ける時間などは、ストップウォッチで計り均一な水分管理を行ないます。

しかし、上の方法ですと、一般のお酒になるとなかなかそこまでできないのが今までの現状でした。大量の処理を前提とした流れ処理式ですので、水分量を計算するかわりに目で見たり、手でつぶしたりして判断している事が多く、均一な水分管理は、たいへん難しい作業でした。

水尾では、大吟醸で行なわれる事が基本だという風に考え、そして、普通の人か、一般に飲むお酒こそ、最高の技術が払われるべきだと考えました。
この結果考えた仕掛けが、お米を120kgずつ、チェーンブロックとつり袋を使って、米の処理を行なう方法です。考えは、大男が大きなザルを使って120kgのお米を大きなボウルの中で一気に洗うという感じです。ザルで10kgずつお米を洗うのと同じ感覚を大きくしたもです。
計量のため300kgまで計れるデジタルのつり計りを一台買いました。

お米の処理の担当者は、ストップウォッチを見ながら、米の品種ごと、用途ごと、精米ごとに、きめ細やかな水分管理を行ないます。こうして大吟醸と同じ0.1%刻みの水分管理が一般のお酒についても行なう事ができるようになりました。

この水分管理の結果、安定した酒質と年々向上してゆける技術の積み重ねを手に入れることができ、お客様の期待を裏切らない水尾に一歩近づくことができたのです。
水尾のバランスの良い味わいはこういった地味なこだわりの作業の積み重ねからできています。

(専務 田中隆太)