醸造元 株式会社 田中屋酒造店 ホームページ

日本酒の本当の話

第11話 「日本酒製造の技術レベル」 
私は日本人というのは民族としてたいへん優秀な民族であると思っています。現代でマスコミに取り上げられる日本人の姿は、へんに欧米化され問題を抱えているように映りますが、日本人に受け継がれた血というものは簡単に変わるものではなく、教育や、家族・親から伝えられる習慣や、狭い国で常に人との関係を意識しながらしか生活できない環境や、そういったものに支えられて今も脈々と受け継がれていると思います。

たとえば治安の良さや世の中の清潔さ。これらは法律や警察で取り締まっても簡単に出来るものではありません。全員が出来るわけではなくとも、「人の物を盗んではいけない」、「トイレから出るときは手を洗う」といった事は日本人の中には当然染み付いてる感覚ですが、世界の中ではそうではありません。ジーンズの後ろポケットに財布を入れて歩けばあっという間に盗まれるのが他の国の常識ですし、トイレの後、手など洗わずにハグするのが常識の国もあります。殺菌剤等配合の手洗いソープがこんなに売れる国も日本ぐらいではないでしょうか。又、識字率の高さも世界トップレベルで、誰もが字が読めるというのは日本の常識で世界の常識ではないのです。

日本酒の製造技術にもこういった日本人らしさが脈々と受け継がれ、今日に至っています。焼酎・ワイン・ビール・ウィスキー等々、世界のアルコール飲料の製造方法と照らし合わせてみても、その発酵管理の技術の高さと緻密さは日本ならではです。製造過程のみ見た場合であれば、おそらく日本酒製造で良いものを造る技術者は、他の酒類の醸造をしても良いものを造るのではないかと思います。


(第11回おわり) 平成23年1月11日 社長 田中隆太
第10話 「素敵な日本酒の飲み方」 

伝統的に和食に素焼きの徳利と杯で飲む日本酒のスタイルは、居酒屋さんでも最も一般的ではありますが、ここ20年くらいは一升瓶からテッパ式に一合程のグラスと受け皿に冷やで注いでいただくというスタイルもすっかり一般的なものになりました。空のグラスが木枡に入って出て来てそこに一升瓶からやはりこぼして注ぐなんてのも良くあるスタイルです。しかし残念ながらそれだけでは日本酒の飲酒スタイルは、現在の時代の中で相対的に見て充分なものでないと私は考えています。

現代では、アルコール飲料だけでなく普通の飲料もグラスで飲むのが一般的です。ところが居酒屋さんで生ビールはビールジョッキ、チューハイ・カクテル類もガラスの背の高いグラス、ワインはワイングラス、ウィスキー・バーボンも専用グラスで出される中で日本酒だけはなぜか素焼きの徳利と杯の事が多い。焼酎のお湯割ですらグラスで供されるというのにです。それゆえ居酒屋のテーブルの上で最も背が低く目立たず、最も低価格であろう器が日本酒の器であることが多いのです。なんか日本酒だけ仲間ハズレみたいに見えるんですよね。注文にも勇気がいります。

しかも乾杯!なんていった時にはおっとっとこぼれそうなんてなりながら、控えめに乾杯するのが日本酒です。テッパ式はグラスでありますが残念!口元まで並々と注がれているためこれもスムーズに乾杯は出来ません。日本酒業界では「日本酒で乾杯運動」というのを推進していますが、「チョット無理…」とか言われそうですよね。

初対面の女性とデートなんて時にも向きません。徳利と杯では「まだそこまでの関係ではないでしょう」とか「古臭い人ね」とか思われそうだし、ナミナミと注がれたテッパ式の酒にいたっては女性はどのように最初の一口を飲んだら良いのか大いに悩むと思います。まさか犬のようにグラスに口を近づけていってススルなどとは考えただけでも笑えます。

でもそんな飲酒スタイルしか一般的になっていないのが日本酒なのです。

もちろん私も伝統的な徳利に杯のスタイルが、おしなべて悪いと思っているわけではありません。緑や紅葉の庭を眺めながら、伝統的な懐石料理と一緒に上質な焼物の杯を静かに傾けるのもとても素敵な事ですし、グラスをチャリンと合わせ大声で叫ぶばかりが乾杯ではなく、杯を掲げて静かに目を交わす乾杯も美しいと思います。

和の着物が美しいのは当然ですが、現代の人は普段着に着物は着ませんよね。街中でざっと見渡しても着物を着ている人はほとんど見かけません。どのような街の雑踏の中でも不似合いでも和の着物にこだわる人の姿、そして居酒屋さんで出されるかたくななまでの徳利と杯姿の日本酒、この2つの姿を私は重ね合わせてしまいます。要はTPOが重要であると思うのです。

一方、テッパ式は立ち飲みで簡単に安く飲む方法から考えられたグラス提供のやり方を、逆説的に20年前ぐらいから居酒屋さん等でオシャレな方法として提案してきたもの。いい線に来ていたのですがそこから進化がなかったと私は考えています。袴からズボンにはなったけれど、スーツにはならなかったといった感じでしょうか。結構普及しているいわゆる「清酒グラス」のスタイルも残念ながら「スーツ」には至っていません。これは日本酒業界の問題で、やはり時代に応じたオシャレな飲み方の提案をもっとして来なければいけなかったと反省しております。

通常の現在ある一般的なガラスの器で現代の日本酒を飲むのに、ベストではないけれど最適なのは残念ながらワイングラスではないかと思っています。でもワイングラスに注いだ日本酒は白ワインよりもクリアな色を持ち、香りの上質さは良いワイン同様で、しかもその味わいはその見かけのクリアさからイメージする通り、和的であり純粋であります。その味にふさわしい、和の雰囲気を醸しながらももっと現代のスタイルに合った器が日本酒には必要であると考えています。

(第10回おわり) 平成21年12月2日 社長 田中隆太

第9話 世界に広がる日本酒の背景にあるもの 
 
 日本国内のアルコールを飲む人の中で日本酒を飲む人はとうとう10%を切り、9%とも7%とも言われています。では日本酒は飲むに値しない劣ったアルコール飲料なのでしょうか?いいえ、むしろ日本酒はこれからの時代の飲み物、世界的に見ても優れたアルコール飲料なのであります。
 最大の日本酒輸出国であるアメリカ合衆国への日本酒輸出量はここ数年毎年20%前後の伸長を見せており、台湾、香港、ロシア、ヨーロッパ諸国でも軒並み輸出量が増加しています。健康・安全・おいしいをキーワードにした日本食への信頼は世界に広がり、寿司の普及をはじめ、「あんこ」や「寒天」がヨーロッパのパティシェに研究されていたり、今まで海外では認められなかっった霜降り牛がやはり美味しいとアメリカのコンテストで「信州牛」が1位になったり、ミシュランガイド東京では1都市としては世界で最も多くの星を獲得したりと留まるところを知りません。
 日本酒もこれら日本食の再評価や普及に伴なって、その食文化の中に最もマッチする伝統的かつ斬新でオシャレなアルコール飲料として、(日本人がフレンチやイタリアンといっしょにワインを楽しむように)自然に普及していっているというのが現状で、その広がり方はおそらく一過性のものではなく相当根の張ったものだと思っています。
 私は過去にニュージーランド、オーストラリア、スイス、フランス、台湾などの海外経験しかありませんが、海外に行くとその度に日本食が恋しくなり、最初のうちは日本人だから小さい頃から経験してきたものが良いと思うのかなと思ってきました。しかし、どうもそれだけではなく、最近ではもともと日本の食文化というかそれに伴なう日本人の味覚自体が世界的に優れているのだと思うようになってきました。
 たとえば、「ステーキ」。日本人は寿司に代表されるように元々鮮度管理が重要な魚を食する民族のため、食材の鮮度管理と素材の生かし方はおそらく世界でも一流レベルです。海外で香辛料や味の強いソースでよく焼いた肉を食べるのに比較し、レアでやわらかい肉を臭みのない形で食べさせ、しかも醤油やポン酢をベースにしたシンプルなソースで牛肉の味わいを殺さずに食べさせる形があるというのはすばらしいオリジナリティーであるとともに、ある一方向では世界で最高の牛肉の食べ方かもしれません。「ソイソース」の名ですでに世界に普及している「醤油」は実は海外のステーキソースの欠かせない隠し味になっているとも聞きます。
 又、15年程前ですが、ヨーロッパのアルハンブラ宮殿の近くの三ツ星レストランで食べた「鮭の香草焼き」。このレストランは当時「ヌーベル・キュイジーヌ」とか言われていた流派のレストランのひとつ。「ヌーベル・キュイジーヌ」とはどうやらあまりソースや油を使わない新しいフレンチの流派の事だったようです。「鮭の香草焼き」はコース料理の中のひとつでしたが、どうみてもどう味わっても上等な「鮭の塩焼き」。しいて言えば「香草」と軽くかかっていた「オイル」が演出ですが、新鮮な鮭の風味をやや消している感じにも受け取れました。「塩だけで焼いてほしかったな〜」と正直思いました。
 そして台湾で食べた八角の強く効いたタイ米の「チャーハン」。それが東南アジアの味の感覚とも受け取れますが、私には横浜の中華街で食べるチャーハンの方が単純に美味しい。聞けば中国・香港などの中華の名料理人はみんな「うちの食材はすべて日本製です」と自慢して言うそうです。よく「中国の方はタイ米のぱさぱさしたご飯でチャーハンを作るのが本場なんだ」と言われますが、はたして本当に品質として優れているのはどちらか、なぜ横浜の中華街のチャーハンは本場に従いタイ米でチャーハンを作らないのか考えてしまいます。
 食べ物の味の評価というのはとても主観的な要素が絡みます。「好み」と「品質」の区別は難しいですし、一概には私の感覚が正しいとは言いませんが、経験の中では直感的に「好み」のレベルではなく日本の食は「品質」が高いと思っています。
 たまにワイングラスで日本酒をいただくことがあります。グラスの中の日本酒は、ワインと比べ非常にクリアで淡白な色あいで、とてもピュアでシンプルなイメージが頭の中に広がります。飲むと麹由来の複雑な香りと味わいが、見た目のイメージと同じように控えめに口の中に広がり、特に素材の味わいを感じるような料理を食べた後に飲むと、その料理の味わいを中和し昇華させるような効果が生まれます。米からなぜこのような香味の醸造酒を生み出すことが出来るのか、なぜ飲むと刺身や焼魚のくせがきれいに消されてゆくのか、海外の方も日本酒を飲んでいる時にはこんなことを考えながら楽しんで飲んでいるのではないでしょうか。
 日本酒が海外に受け入れられているのはそんなに難しい理由ではなく、日本食がおいしいということといっしょに、日本酒も単純においしい・面白いといったところから受け入れられているのだと思います。もう10年以上も前ですがヨーロッパのソムリエが口をそろえて言っていたということを思い出します。「生牡蠣にはシャブリより日本酒が合う」。日本人にはあたりまえの味覚が実は世界では最先端の味覚であり、今まさにそれが世界に広がりつつあるのです。
(第9回おわり) 平成20年12月19日 社長 田中隆太


第8話 日本酒の賞味期限
日本酒には製造年月が記してありますが、賞味期限はあまり記してありません。いつまで飲めるの?というご質問を良くいただきますので、ここでお答えしておきたいと思います。

まず、飲んで身体に害があるかどうかというレベルで「飲めるか」という事になると、開栓しなければ100年経っても飲めない酒はありません。生酒などは再発酵して酢になる事はありますが、酢ですから身体に害はありません。

次に、おいしく飲めるかというレベルで「飲めるか」という話です。これはそれぞれの蔵元の考え方やびん詰めするまでのお酒の処理の仕方にもよると思います。たとえば熱処理した商品では、月〇冠さんなどは製造年月より1年間を賞味期限としていますし、私どもはおおむね6ヶ月と説明しています。生酒などは賞味期限の考え方がもっと難しく、技術者的な立場から見ると鮮度の良さが崩れない限界は搾ってから3週間位ですが、消費者的な立場から見ると、冷蔵庫で3年寝かしてから飲むマニアの方も多くいらっしゃいます。

要するにどこまでが熟成で、どこからが劣化なのかを判断するのは日本酒の場合、基本的に難しいという事なのです。蔵元が説明する賞味期限はあくまでも蔵元が考える酒の味の範囲に収まる為の期限という事に成ります。それ以上熟成させたほうが好きと言うお客さんももちろんいると思いますし、それはそれで正解なのです。

そんな前提にたった上で、さらにお話をしたいと思います。

日本酒の熟成は温度によって大きく変わります。5℃の冷蔵庫で保存しておいたなら熱処理商品であれば1年たってもおいしく飲むことが出来ます。逆に夏前に買ったお酒を日中30℃にもなる部屋で1ヶ月も置けば2〜3ヶ月分の熟成は進んでしまうと考えられます。

また、ワインと同じように急激な温度変化により味が変わりやすくなり、昼は30℃夜は20℃等というのも劣化を進める原因になります。同じ30℃から20℃に落ちるにしてもゆっくりと何ヶ月もかけて落ちていく場合は思ったほど劣化はしないようです。押入れの中に忘れられていた1年前の酒が色は変っていても味は丸くなりおいしくなっている場合があるのは同じような理由によるものと思います。

大吟醸酒を20℃以下の低温庫で5年貯蔵した商品を販売した事がありますが、味わい的にはやや熟している程度で、10年寝かせても良さそうなくらいでした。

日本酒は発酵食品のひとつであり、先人の英知が詰め込まれた偉大な長期保存食品のひとつです。その熟成や味わいは普通の食品の判断とは違い、飲んでみておいしいかどうかということに尽きると思います。

もし飲まないお酒がありましたらぜひ、なるべく低温で、温度変化の少ない、日のあたらない場所に置いておいてください。半年後にはこの世でひとつしかない貴重なお酒に育っているかもしれません。
 
(第8回おわり) 平成19年1月8日 社長 田中隆太


第7 話 活性炭濾過の話
清酒の活性炭濾過については知られているようで、意外と知られていないのではないかと思います。蔵で搾ったばかりの香り豊かな搾りたての生酒を飲んだことのある人は、普通の酒になるとなぜそれがごくあたりまえの風味の酒に疑問を感じた事はないでしょうか?

お酒の製造工程で風味に影響を与える要素はたくさんありますが、特にはっきりと差が表れるのが活性炭濾過のやり方です。「水尾のこだわり」でもふれていますが、活性炭濾過は酒の悪い香味を取り去る効果がありますが、同時に良い香味も大きく取り去ってしまいます。欠点もなくなるが長所も減るといった具合です。香味豊かなしぼりたて生酒が、ごくあたりまえの酒になってしまう理由の多くが活性炭濾過にあります。

活性炭濾過というのはよく水の浄水器についているあれを、大きい規模でやるものと考えてもらっていいと思います。製造工程の中では3段階の使用段階があり、1回目が生酒を搾った後、生酒のまま行ないます。2回目は貯蔵タンクへの火入れ(熱処理してタンクへ納める)時、「はりつけ」といってタンクの中へ直接炭素を投入してしまうやり方です。これは後で濾過により炭素を取り除きます。3回目は出荷前に、貯蔵タンクから出した酒に対し、熟度の調整に使います。3回に分けるのは、より少量で効果をあげるためには、一度に行なうより何回かに分けたほうが良いからです。

なぜ活性炭濾過をするのか、搾ったそのままで良いのではないかと思われるでしょうが、次のような問題があります。

@搾ったそのままだとお酒に色があります。もちろん自然な色で、その昔には酒は山吹色といわれており、香味には直接関係ないのですが、視覚的に、ここ最近の過去の常識として酒造業界が提供してきた酒が無色である事から、色があると劣化しているのではないかと思われがちです。視覚的イメージを良くするために活性炭を使います。

A搾ったそのままだと豊かな香味がある一方、酒の後味などに雑味が認められる場合が多くあります。これはモロミでの製造過程に問題があった時や、もともとの原料米が低精白だった時などに起こります。搾りたての時点では新鮮な風味にカバーされて目立たないのですが、貯蔵を経た後、雑味が浮いてくるため、活性炭濾過により除去します。

Bタンクに火入れ後、夏を越して貯蔵された酒は老香(ひねか)という劣化臭がのってきます。この老香を取り除くために炭素濾過を行ないます。

以上のような話が、一般的な活性炭濾過の話ですが、最近は最先端の部分で違った動きも出てきています。それは、活性炭濾過は行なわないという流れです。色は自然の色であり、もともとあるものとして気にしない、雑味は精米や製造工程をていねいに行なう事で出さない、貯蔵は冷蔵貯蔵を行なう事で老香をださない、などの改善により活性炭濾過を廃するという考え方です。

一概に活性炭濾過が悪いわけではありませんし、それによりより良い酒質を提供する事も可能です。しかし前述しましたとおり、活性炭を使うことで文句をつけられない酒にはなるが、優秀な点数をつけることも出来ない酒になってしまう危険性をはらんでいます。

活性炭の使い方はその蔵のポリシーを大きく反映する部分であるともいえます。
(第7回おわり) 平成17年12月xx日 専務 田中隆太
このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。

第6 話 日本酒は健康に悪い!?
日本酒は健康に悪いといわれる事がありますが、とんでもない、非常に間違った情報です。むしろ、様々な健康効果があることがわかっています。

例えば糖尿病に、日本酒の糖分が良くないとか、日本酒はカロリーが高いから、などという意見がありますがそれは間違い。カロリーはどのようなお酒でもアルコール1gにつき7キロカロリーあり、特に日本酒が高いというわけではありません。むしろ、日本酒には血糖値を下げるインスリン様の物質が含まれており、よい面も持っています。

又、日本酒には、善玉コレステロールを増やして心筋梗塞や冠状動脈疾患等を予防する効果、がん細胞の発生防止や増殖抑制効果、血管拡張作用によるストレスの軽減・肩こり・冷え性・偏頭痛の改善など、様々な健康効果が認められています。

それではなぜ日本酒は健康に悪いイメージがつきまとっているのでしょう。日本酒は過去に大衆酒として、他のどの酒類よりも多く飲まれていた時代があります。一升瓶を持って酔いつぶれているサラリーマンのお父さんのイメージが未だに一部の人にあり、アルコール中毒の見本のお酒みたいなイメージがあります。

業界としても健康の事をうたったら、逆に健康によいと称してアルコール中毒を助長しているのではないか思われることがいやで、今まで健康の事をうたってこなかった側面があります。他の酒類の業界ではうまく健康効果についてPRしてきたため、結果日本酒だけが取り残されてしまった形になったのでしょう。

現在、ようやく健康面についてアピールするようになってきましたが、今までのイメージを払拭するには時間がかかりそうです。又、これだけの健康効果のある日本酒をなぜマスコミが取り上げないでいるのか不思議であるとともに、たいへん残念でなりません。

(第6回おわり) 平成17年6月xx日 専務 田中隆太

このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。

第5話 高いお酒はうまいお酒!?
 価格の高いお酒を選ばれて、「値段の良い酒なんだから、どんな方に差し上げても間違いのないおいしい酒なんだろう」と言われるお客様がたまにいらっしゃいます。もちろん、価格の良いお酒は原料も吟味しておりますし、精白も高いですし、各蔵で自信を持って造っております。

しかし5000円〜10000円で売られている日本酒は、いわゆる「大吟醸酒」で、非常に華やかな香りの高い酒のため食中酒に向かなかったり、杯を重ねてどんどん飲むというわけにいかなかったりする場合が多くあります。高級なさしみ醤油を、生卵にまぜてご飯にかけてもアンマッチなのと同じで、日本酒もTPOによって選び分けないとだめだという事なのです。


それゆえに、高いお酒であればどんなお客様の口にも合うかといえばそうではなく、どんな食生活やお酒の飲み方やライフスタイルをしているかによって、最も良いお酒というのは変わってくるものなのです。そういう意味で、安くても良い日本酒というのが存在します。


又、一部の希少有名銘柄で、蔵元からは2000円前後で出荷されている酒が、5000円にも10000円にも価格が付いて売られている場合もあります。この場合は単に流通の問題で、需要と供給の差が開きすぎているケースで、価格と品質がアンバランスになってしまっていて、高いのでよほど良いかと期待をして飲むと裏切られることが多いです。


それでは何でお酒を判断するか。それは自分で飲む場合は実際に価格の先入観なしに飲んでみて気に入った酒にする事、単純ですがこれが一番の方法です。他の方へのプレゼントの場合や味見ができない場合は、飲まれる方の飲酒スタイルを良く知った上で、(いつも飲んでいる酒の銘柄や種類がわかればなおいいです)信用できるお酒の専門家のいる酒販店さんに相談して買うのが良い手段です。

いずれにしてもお酒は嗜好品です。風評や価格に惑わされる事なく、自分の味覚や専門化との会話の中で判断していく事が良いと思います。また、そうやってじっくり自分に合った隠れた銘酒を探し選ぶのも、日本酒の楽しみのひとつだと思います。

 

(第5回おわり) 平成15年12月xx日 専務 田中隆太

このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。

 


第4話 日本酒独特な臭いがキライ!?

よく、日本酒を好まない方は、「日本酒はオカンした時に良く分かるあの独特な臭いがだめなのよね」とおっしゃいます。この「臭い」というのは日本酒がすべて持っていると思われがちですがまったくの誤解です。炊いたご飯が古くなれば独特な臭いがするように、酒も古くなれば独特な臭いを持つようになります。たいていの場合、この臭いが「日本酒特有の臭い」と表現される事が多いようですが、大変残念な事です。

 なぜ、このようにいわれてしまうかというと正直いって製造過程の段階で酒を古くしてしまう清酒メーカーが多いせいだと私は思っています。これは単純に酒が古くなった時に発生する「老香(ひねが、老酒のような香)」だけではなく、生酒の段階で生じる「生老香(なまひねが)」と呼ばれるものに由来しているのだと考えています。

日本酒はもろみから搾ったあと、「火入れ」といって熱処理を加えるまでの間、生のまま保存されます。熱処理前の生酒の中には酵素が生きており、おおよそ0℃以下の(確かな温度は厳密には研究されていませんが)低温におかないと、どんどん味が変わっていきます。こうして生酒の段階で生じた「生老香」が熱処理後も残り、濾過等でも取れないため最終製品に残ってしまうのだと思っています。

特にローコストで日本酒を製造しようとする場合、こういったことはおざなりにされるケースが多いようで、低価格な居酒屋さんで飲む日本酒がおいしくなく、「日本酒はダメ」となってしまう人がでてしまうのが、とても残念です。

「水尾」を飲んだ、特に女性のお客様に多いのですが、「日本酒特有の臭いがしない」、「他のはダメだけど水尾だけは飲める」と言う人がいます。でも、水尾だけではなく、いいお酒はそんな「臭い」はまったくありません。むしろ心地よい香が漂うものであります。

 

(第4回おわり) 平成14年12月xx日 専務 田中隆太

 

このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。

 
第3回 オカンの酒とヒヤの酒
 最近 「酒はヒヤの方がうまい。」と言う人が増えて来ている様な気がします。昔は、日本酒というとオカンで飲むのみ方が、ほとんどだったはずですが、現在は半分くらいはヒヤで飲む方がいらっしゃるのではないかと思われます。

 最近の日本酒は解かりやすさを意識してか、極めつけのお酒になるほどカプロン酸という種類の吟醸香の強いタイプのお酒が多く見られます。これらのお酒はオカンするとバランスが崩れるので、それが、よい酒はヒヤでというスタイルを生み出しているのかもしれません。

又、缶コーヒーにしても、缶入ウーロン茶にしてもすべて、昔は、ホットで飲んだはずなのに、現在ではほとんど「ヒヤ」で、飲まれるのを見ると、現代の流れがコールドなものを求めているのかなという気がします。

 私も個人的にはヒヤで飲む事が多いのですが、オカンの酒も好きです。オカンは絶対ダメという人がたまにいますが、これはおそらくおいしいオカンのお酒を飲んだ事がないのだと思います。本当にオカンに向いた淡白な香りをしっかりと持つお酒をオカンしたときの穀物系のふっくらとした香りの良さというのはヒヤでは味わえない感覚です。

 しかし、世の中にはオカンしてもおいしい極めつけのお酒というのは、少ないのが現状だと思います。造り手の立場から言いますと、正直需要が少ないからです。

 造り手も消費者も含め、ある程度吟醸酒の華やかな世界を卒業してしまわないと、次の新しい日本酒のステップには踏み出せないのではないかと私は思っています。日本酒の世界は、考える以上にまだまだ、深い部分が隠れているのです。

(第3回おわり) 平成13年12月13日 専務 田中隆太

 

このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。


第2回 「辛口の酒」って何だ!
 よく 「この酒は辛口の酒だからいい。」って言う人がいますけど、同じ 「辛口」と表現しても、それぞれの人で、違う意味だったりする事がけっこうあります。

糖度の低い酒を辛いという人。にが味のある酒をそのビター感から辛口と言う人。香りのある酒の飲みやすさを辛口と表現する人。やわらかい味わいを辛口を表現する人。男性的なごつごつした酒を辛口と表現する人など。味わいが多いから味が重く甘口という人。味わいが多いから刺激が多いので辛口という人。また、飲んだ後にぐっと来るおし味があるため、辛口と表現する人。後味がさらリとしているから、辛口と表現する人。つまり、全く逆の意味だったりする事があります。

 どうやら 甘口、辛口という区分というのは、なんとなくわかるのですが、正確な区分では、ないような気がします。

 2つに分ければ、簡単なのですが、味覚の世界というのは決して2つに分けられるものではないですし、単純に分けてしまうのは面白くないと思います。

 一時の辛口ブームから、今だに辛口の酒を下さいという人がいらっしゃいます。私は、辛口の酒が欲しいとおっしゃる方にも,まず飲んでみて下さいと言います。自分が美味しいと思うものが美味しいのであって、人が美味しいというから美味しいというのは間違いです。

 辛口でも重厚な酒。甘口でもさらりとした酒。というのがこの世には存在します。

本当に求めている「辛口」または、「甘口」というのは、いったいどういう酒なのだろうかと,もう少し考えてみると,さらに深い日本酒の世界が広がってくるのです。

(第2回おわり) 平成13年2月24日 専務 田中隆太

 

このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。


 
第1回 醸造アルコールはまがい物か

 日本酒の原材料に入っている醸造アルコール。一部のマスコミや酒の専門家、食の専門家などでけちょんけちょんに悪者扱いされたことがあります。しかし、「醸造アルコール」と言うのはどうもその言葉の響きが悪いため勘違いされやすいのですが、焼酎そのもののことなのです。

 日本酒メーカーは焼酎メーカーより95%の焼酎を購入します。これを割水し30%の焼酎(巷で売ってる焼酎とまったく同じものになります。)を造り、日本酒のもろみの最後に少量混ぜ合わせます。搾った酒には味のバランスが良くなり、香りがさらに引き立つなどの効果が現れます。この方法によりは古くから伝わり、昔は柱焼酎と呼ばれたと聞いています。

 意外と知られてない事ですが、全国で最高の酒を競う鑑評会で金賞を取る大吟醸酒も9割がた醸造アルコールが添加されたものです。実際造って見ても醸造アルコールを添加した大吟醸の方がすっきりとバランスよく酒があがります。一般の消費者の方は大吟醸酒は純米酒だと思っている方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。

 確かに、戦後酒の足りない時期に酒の増量のために醸造アルコールが大量に添加されていたという技術の悪用時代もありましたが、現在は酒の味わいを調整するために使われているケースがほとんどです。

 ぜひ酒の表示の先入観や世間で言われていることに惑わされず日本酒を味わってみてください。うまいものはヤッパリうまい。これを自分で確かめることが肝心です。

(第1回おわり)

 

このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。