第4話 日本酒独特な臭いがキライ!?
よく、日本酒を好まない方は、「日本酒はオカンした時に良く分かるあの独特な臭いがだめなのよね」とおっしゃいます。この「臭い」というのは日本酒がすべて持っていると思われがちですがまったくの誤解です。炊いたご飯が古くなれば独特な臭いがするように、酒も古くなれば独特な臭いを持つようになります。たいていの場合、この臭いが「日本酒特有の臭い」と表現される事が多いようですが、大変残念な事です。なぜ、このようにいわれてしまうかというと正直いって製造過程の段階で酒を古くしてしまう清酒メーカーが多いせいだと私は思っています。これは単純に酒が古くなった時に発生する「老香(ひねが、老酒のような香)」だけではなく、生酒の段階で生じる「生老香(なまひねが)」と呼ばれるものに由来しているのだと考えています。
日本酒はもろみから搾ったあと、「火入れ」といって熱処理を加えるまでの間、生のまま保存されます。熱処理前の生酒の中には酵素が生きており、おおよそ0℃以下の(確かな温度は厳密には研究されていませんが)低温におかないと、どんどん味が変わっていきます。こうして生酒の段階で生じた「生老香」が熱処理後も残り、濾過等でも取れないため最終製品に残ってしまうのだと思っています。
特にローコストで日本酒を製造しようとする場合、こういったことはおざなりにされるケースが多いようで、低価格な居酒屋さんで飲む日本酒がおいしくなく、「日本酒はダメ」となってしまう人がでてしまうのが、とても残念です。
「水尾」を飲んだ、特に女性のお客様に多いのですが、「日本酒特有の臭いがしない」、「他のはダメだけど水尾だけは飲める」と言う人がいます。でも、水尾だけではなく、いいお酒はそんな「臭い」はまったくありません。むしろ心地よい香が漂うものであります。
(第4回おわり) 平成14年12月xx日 専務 田中隆太
このページでは日本酒全般に関して、いろいろ言われている噂話的な事から、まことしやかに語られる偽日本酒話などに製造している立場からメスをいれて行きたいと思います。日本酒に関しての質問・話題等お寄せいただければ取り上げていきたいと思っています。
最近 「酒はヒヤの方がうまい。」と言う人が増えて来ている様な気がします。昔は、日本酒というとオカンで飲むのみ方が、ほとんどだったはずですが、現在は半分くらいはヒヤで飲む方がいらっしゃるのではないかと思われます。最近の日本酒は解かりやすさを意識してか、極めつけのお酒になるほどカプロン酸という種類の吟醸香の強いタイプのお酒が多く見られます。これらのお酒はオカンするとバランスが崩れるので、それが、よい酒はヒヤでというスタイルを生み出しているのかもしれません。
又、缶コーヒーにしても、缶入ウーロン茶にしてもすべて、昔は、ホットで飲んだはずなのに、現在ではほとんど「ヒヤ」で、飲まれるのを見ると、現代の流れがコールドなものを求めているのかなという気がします。
私も個人的にはヒヤで飲む事が多いのですが、オカンの酒も好きです。オカンは絶対ダメという人がたまにいますが、これはおそらくおいしいオカンのお酒を飲んだ事がないのだと思います。本当にオカンに向いた淡白な香りをしっかりと持つお酒をオカンしたときの穀物系のふっくらとした香りの良さというのはヒヤでは味わえない感覚です。
しかし、世の中にはオカンしてもおいしい極めつけのお酒というのは、少ないのが現状だと思います。造り手の立場から言いますと、正直需要が少ないからです。
造り手も消費者も含め、ある程度吟醸酒の華やかな世界を卒業してしまわないと、次の新しい日本酒のステップには踏み出せないのではないかと私は思っています。日本酒の世界は、考える以上にまだまだ、深い部分が隠れているのです。
(第3回おわり) 平成13年12月13日 専務 田中隆太
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よく 「この酒は辛口の酒だからいい。」って言う人がいますけど、同じ 「辛口」と表現しても、それぞれの人で、違う意味だったりする事がけっこうあります。糖度の低い酒を辛いという人。にが味のある酒をそのビター感から辛口と言う人。香りのある酒の飲みやすさを辛口と表現する人。やわらかい味わいを辛口を表現する人。男性的なごつごつした酒を辛口と表現する人など。味わいが多いから味が重く甘口という人。味わいが多いから刺激が多いので辛口という人。また、飲んだ後にぐっと来るおし味があるため、辛口と表現する人。後味がさらリとしているから、辛口と表現する人。つまり、全く逆の意味だったりする事があります。
どうやら 甘口、辛口という区分というのは、なんとなくわかるのですが、正確な区分では、ないような気がします。
2つに分ければ、簡単なのですが、味覚の世界というのは決して2つに分けられるものではないですし、単純に分けてしまうのは面白くないと思います。
一時の辛口ブームから、今だに辛口の酒を下さいという人がいらっしゃいます。私は、辛口の酒が欲しいとおっしゃる方にも,まず飲んでみて下さいと言います。自分が美味しいと思うものが美味しいのであって、人が美味しいというから美味しいというのは間違いです。
辛口でも重厚な酒。甘口でもさらりとした酒。というのがこの世には存在します。
本当に求めている「辛口」または、「甘口」というのは、いったいどういう酒なのだろうかと,もう少し考えてみると,さらに深い日本酒の世界が広がってくるのです。
(第2回おわり) 平成13年2月24日 専務 田中隆太
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第1回 醸造アルコールはまがい物か日本酒の原材料に入っている醸造アルコール。一部のマスコミや酒の専門家、食の専門家などでけちょんけちょんに悪者扱いされたことがあります。しかし、「醸造アルコール」と言うのはどうもその言葉の響きが悪いため勘違いされやすいのですが、焼酎そのもののことなのです。
日本酒メーカーは焼酎メーカーより95%の焼酎を購入します。これを割水し30%の焼酎(巷で売ってる焼酎とまったく同じものになります。)を造り、日本酒のもろみの最後に少量混ぜ合わせます。搾った酒には味のバランスが良くなり、香りがさらに引き立つなどの効果が現れます。この方法によりは古くから伝わり、昔は柱焼酎と呼ばれたと聞いています。
意外と知られてない事ですが、全国で最高の酒を競う鑑評会で金賞を取る大吟醸酒も9割がた醸造アルコールが添加されたものです。実際造って見ても醸造アルコールを添加した大吟醸の方がすっきりとバランスよく酒があがります。一般の消費者の方は大吟醸酒は純米酒だと思っている方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、戦後酒の足りない時期に酒の増量のために醸造アルコールが大量に添加されていたという技術の悪用時代もありましたが、現在は酒の味わいを調整するために使われているケースがほとんどです。
ぜひ酒の表示の先入観や世間で言われていることに惑わされず日本酒を味わってみてください。うまいものはヤッパリうまい。これを自分で確かめることが肝心です。
(第1回おわり)
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